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口話とは?読唇術と聴覚活用とか聞くけど…なにがどう違うのか解説!

公開日2020/01/21最終更新日2020/02/16

手話と口話

口話とは?読唇術と聴覚活用とか聞くけど…なにがどう違うのか解説!

デフサポのユカコです。
今年もデフサポをどうぞよろしくお願いいたします。
昨年は本当にバタバタの一年間でしたが皆さんの温かいご支援のおかげで成り立ってきたなと感じています。そして、より多くの人に出会えた一年でもありました。

デフサポを頑張ってやってきてよかったなあ〜と思えるのは、本当に関わってくれるみなさんのおかげです。
今後も、一人でも多くの親御さん、当事者の方のお力になれるよう頑張って参ります!

▼動画で見たい方はこちらをどうぞ!

口話(こうわ)とは?

・相手の唇を読んで言っていることを理解すること
・聞こえないなりに声を出して口形を模倣して発音をすること

と一般的に言われていますが実際のろう学校や様々な現場では

聴覚活用も、読唇術+発声もひっくるめて→口話

と呼ばれています。

ただし、おなじ口話とひとくくりにされていますが、聴覚活用と読唇術では、言葉の獲得方法、発音の獲得方法が全く違ってきます。

聴覚活用とは?

・人工内耳や補聴器を活用して、耳でことばを理解すること
・聞こえた声を元に発話を習得していくこと(が多い)

じつは聴覚活用と口話は一緒にされがちですが、正直言って私は分けて考えたほうがいいと思っています。聴覚活用自体が昔に比べて楽になっています。
補聴器も人工内耳の発達により、聴覚活用がしやすくなってきました。

実は今は、私のように本当に全然聞こえない、発音習得が大変だろう…というくらい、聴力が重たいお子さんでも、人工内耳をすることではっきり話し始めたり、電話もしたりと、私から見て驚くくらいことばの習得スピードが上がったりしています。

もちろん「人工内耳=聞こえる人」になるわけではありませんが、昔のような発音訓練は不要になってきています。いろんなお子さんの成長を見ていても、その家族の考え方や選択によってはかなり有効な選択肢になると感じています。

読唇術とは?

・相手の口の形を読み取って理解すること

とありますが、ぶっちゃけ口の形だけ!!というよりは、多くの人は補聴器などを使用して少し活用できる聞こえと、口の形の2つを中心にしながら理解しているケースが多いです。

そして文脈からどのことばが正しいかを瞬時に判断する力、相手がどんなことをいうかを想定する力、、、など様々な観察眼や勘の良さに左右されてしまうように感じています。

しかも読唇術はどちらかというと、教えたらそのまま出来るというよりは、勘の良さと経験が物を言う世界だなと感じています。

読唇術は訓練できるのか?

「読唇術ってどうやって訓練したんですか?」と聞かれるのですが、私の場合は一切訓練していませんし、誰からも教えてもらっていないです。

どう習得していったかというと必要にかられて覚えていくしかなかったという感じで、苦労も何もなくいつの間にか覚えてた…という感じです。(2歳で難聴がわかるときにはすでにちょっと読んでいたらしく…。)

とはいえ教えられないわけではありません。
ろう学校や場所によっては口の形を書いた紙といっしょに話してもらって、それを見ながら覚えていく…という方もいらっしゃるようです。

中途失聴者などが読唇術を覚える必要が生じた時にはわかりやすい単語から始めて、文脈を想像する…といった内容から練習したり…など、人によって訓練は可能だと感じています。

ユカコの場合はどうなの?

私自身はほぼ全く補聴効果がないので”聴覚活用”をせずに”読唇術と自身の発音”で生きてきています。

概ね98%くらいを読唇術(唇の動きを把握する)で、発音は一応7割位は相手に伝わるかな。という程度。
初対面の人によっては聞き返されることもわりとあります。

私の場合は”イントネーションの習得”や、”声のトーン”や”大きさ調整”などが難しいです。耳から音が入らないので口の形が変わらないことに対する模倣は全般的になかなか難しいです…!実際に話しているのがこういう感じ。

読唇術や発音のレベルは落ちる。(聴覚活用をしていない私の場合)

普通に口を読み取る分には問題なく大丈夫なのですが、読唇術も発音も、使わないと衰えていくんだなあ…という風に思うことが増えてきました。

個人的にここは落ちないと思っていたのですが、英語やテニスなど、他の習得したものと同じで”使わなければ自然とできなくなっていく”んだな…。と感じています。

※勿論基礎は入っているので感覚さえ思い出したらすぐ戻る感じです。

例えば昔は口が1/3見えていればほぼわかっていたし、髭が生えている相手でもだんだん慣れてきてわかってきていたのですが、しばらく会わないうちにできなくなっていて、あれーーーー読めなくなってる!
と思ったり。10分ほど話すと昔の感覚が復活してくるのですが、ちょっとやっぱり腕が鈍るというか、そういうのってあるんだなあと感じています。

(この辺は面白いので個人的にちょっと研究してみたいな−って思ってます♪笑)

昭和・平成初期世代の受けてきた口話の教育方法ってぶっちゃけ古い。

ちなみに、私が教えられてきた昔の口話(発声&発音練習・読唇術など)の教育方法ってぶっちゃけもう古い話なんですよね。もちろん全て使えないわけではなく、活用できるものもたくさんありますが、全く同じような教え方…というのは通用しません。

今の聴覚活用と昔の口話の訓練はそもそものスタートから、ことばの学習ルートが違うので、聴覚支援学校(ろう学校)や、療育でも大幅に変わってきていることでしょう。

もう一つ言うならば、ろう学校に関しては手話を中心とする学校もかなり多くなっています。
→手話、口話、トータルコミュニケーションの話は長くなるのでまた改めて…

発音練習なんてもう今はしている子供のほうが少ないし、その訓練ができる先生たちもどんどんいなくなりました。

昔の口話教育でつらい思いをしていた人もいる。

昔は人工内耳もなかったのと、口話法が中心だったため、補聴器だけだとなかなか聴覚活用が上手くいかず辛い訓練をしてきた子供たちも多くいます。
その辛さから親子関係が悪くなってしまったり、手話で育ててほしかった…と口話教育を恨んでいる話もよく耳にします。

発音練習って、私もそうなんですが聞こえないからどんな音かも分からず、そして自分の話した発音のフィードバックもできないし…難しいですよね。
それを何度も何度も親や先生に注意されて、うまくできないと叱られて…そういった辛い経験をしてきた方々はしんどかったと思います。

ちなみに私と同じ教育を受けていても、感じ方って本当人それぞれで。
私は辛く思ったことはなければ楽しかったけど、こういう友人もいる。

大人になってから手話を学ぶ難聴者

選択肢は増えたが、どれを選ぶか・もしくは併用するかでことばの教え方は大幅に異なるケースも。

今は、難聴児のことばの教育に、様々な選択肢があるが、どれを選ぶかでことばの教え方はかなり異なってくる!

そして実はこっちの話も大事で、今は選択肢が圧倒的に増えてきています。なので人工内耳も、補聴器も、そして日本語対応手話も、日本手話も選択肢として親御さんが知るのは容易になってきました。

・日本手話
・日本語対応手話
・キュードスピーチ
・書記日本語
・口話
・聴覚活用

どれか一本に絞る方針のところもあれば、いくつかを併用する方針のところもあります。ろう学校はトータルコミュニケーションといって、日本語対応手話と口話を併用する所が増えています。

そして子ども自身によってもどれを活用したいか等、割合は異なります。

それぞれの教え方は結構異なってくるので、割と早い段階で正しい情報を得ることを大事にしてほしいなと思います!

聴覚障害の基礎知識はこちら

人工内耳は聴者(聞こえる人)になれる機械ではない!

今の技術の進化と医療の進化のおかげで聴覚活用できるようになったのは本当に、すごい進歩だと感じています。

デフサポでいろんな子どもたちに会っていても、補聴器の時は言葉を教えるのが大変だったのに、人工内耳を入れてからの伸びってすごい!!って子どもたちもたくさんいます。

そこで注意してほしいのですが、人工内耳を入れても、ことばは抜けますし、聞き取りができていてもコミュニケーションができるかどうかはまた別の話になります。

昔の補聴器に比べると当然人工内耳のほうが聞き取りやすくなります。でもあくまでも人工内耳は”機械”ですから限界はあります。

いくら聞こえがいいように見えても、ペラペラ話していても、聴覚障害者であることに変わりはありません。

人工内耳&中等度難聴の子は聞こえてそうで聞こえていない事が多い! 100%を目指さないで。たくさん助けてもらって80%になればいい。

逆に聞こえが良くなって、電話や会話がスムーズにできてしまう分当事者や親御さんが障害や聞こえないことを受け入れられず、隠したい…と思ってしまったり、聞こえのことを相手に伝えられない…といった話を聞くことも増えています。

そうすると結果的に大変なのは本人なのです。
重度難聴者が人工内耳を入れたことで、より聴者に近づきたい、聴者と同等でありたいと感じてしまう、障害認識についての問題もあると思っています。

誰がなんと言おうと自由に選択をしていい。

人工内耳を入れて、発話や聴覚活用を中心にしながら過ごす選択肢もありだし、日本手話を第一言語にして、家族の中はバリバリの日本手話手にして、聴者が合わせる方法で過ごす選択肢もあり。

どれも併用しつつ、、、というのもありです。

結論から言うとどの選択肢もいい選択肢ですが、併用することのデメリットもあります。

選択肢をどれにするかっていうのは子供や親御さんのやりたい方針などについても違ってきます。いろいろな選択肢の内容について、聞きたい方はカウンセリング等にいらしてください!
※遠方でもオンラインチャットやスカイプで可能ですよ〜🌟


カウンセリングについてしりたい方はこちら

ただ、カウンセリングをしていて毎回思うのが、情報が満足に得られていないがために、本当にやりたい選択肢を選ぶことができないなって方もたくさんいらっしゃいます。本当はいろいろな情報がもっと世の中にあるといいんですけどね…!><

たとえばろう学校の先生にこう言われたから…こうしないといけないんだ…。というふうな相談もたくさん受けてきていますが、こうすべき、っていう答えは家族によって異なります!

今はかなり様々な方法もありますし、デフサポでも可能な限りサポートはさせていただきますので、お気軽にカウンセリングでもどうぞ^^

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