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ここだけは必ず確認すべき!聴力検査結果【オージオグラム】の徹底解説!

公開日2017/02/27最終更新日2018/08/04

■難聴の基礎知識

ここだけは必ず確認すべき!聴力検査結果【オージオグラム】の徹底解説!

デフサポのユカコです。

人工内耳補聴器の基本に続いて今日はこちら!

オージオグラムについて細かく説明していきます。
新生児聴覚スクリーニングや難聴が判明してからも定期的に聴力検査を受けていることと思います。このとき聴力検査の結果を出したものを「オージオグラム」といいます。

難聴者と関わる人はこの表(オージオグラム)を必ず見たことがあるはず。

でも…意外と”完璧にグラフの見方を理解している!”といえる方は少ないのではないでしょうか。医師もあまりキッチリ説明しないことが多く、なんとなーく分かったつもりになっている方も多いと思うので、今日は絶対に見るべきポイントを踏まえて基礎の基礎から徹底解説します!


オージオグラムってなに?

聴力検査の結果を記録する用紙のことをオージオグラムといいます。
そしてオージオグラムの見方として…分かりやすいように徹底的に図解してみました✨

①縦軸:dB(聴力レベル)

縦軸は、聴力レベルを表しています。dB(デシベル)という単位で表されてており、数値が小さいほど聞こえが良いです。そして数値が大きくなるにつれて(下にいくにつれて)聞こえが悪いということになります。

0dBは健聴者が聞こえる音で最も小さい音になります。
じゃあなんで-10dBとか、-20dBがあるのかというと、普通の人が聞こえない音が聞こえるくらい聴力のいい人にはこの音も聞こえることがあるんですね。なので表記されています。

ちなみに聴力検査の音の大きさは5dB刻みで実施します。

②横軸(周波数)

横軸は周波数を表しており、周波数とは音の高さになります。Hz(ヘルツ)という単位で表されており、数値が小さい方が低音です。低い音から、右にいくにつれて高い音になっていきます。

検査は全部で7つの周波数の音で実施します。
125Hz,200Hz,500Hz,1000Hz,2000Hz,4000Hz,8000Hzの7つです。

どんな音かというと(私の主観ですが)125Hzは、「ボオオオー」という低い音、2000Hzは「ピイイー」という音、8000Hzは「チーーー」という感じの高い音になります。

(※乳幼児の場合は、検査の集中力等も踏まえて125Hzと8000Hzを省略することが多いです。)

③右耳と左耳

右耳は〇、左耳は×で記入され、それぞれ実線と点線で結びます。また、右耳が赤、左耳が青で示されることも多いです。

右耳 →丸(〇)と実線(ー)
左耳 →ペケ(×)と点線(…)

聴力検査は右耳と、左耳を別々に行います。右も左も一緒に見れるように同じオージオグラムに記載するのが一般的です。※たまに場所によっては分かりやすいように左右別々のオージオグラムに記載して渡してくれるところもあります。

④スケールアウト

重度難聴等で、難聴の程度が重く、使用したオージオメーター(音を出す機械)で出せる一番大きな検査音も聞こえなかった場合は「スケールアウト」といい、その音の場所に〇か×を記載し、その下に斜め下に矢印を書きます。また、スケールアウトの場合は線で結びません。

上の図では左耳の4000Hzと、8000Hzが110dBでスケールアウトとなっています。
つまり、110dBより悪いけど、これ以上の音が出せないので検査ではわかりません!ということになります。

⑤オージオグラムでの聴力の表し方

このグラフをもとに右耳の聴力を見る場合は
125Hzは40dB
250Hzは50dB
500Hzは60dB
1000Hzは65dB
2000Hzは70dB
4000Hzは80dB
8000Hzは80dB
となります。

ここは結構素直に見ればわかるのでそのまま見てください!

⑥平均聴力レベル

一般的には⑤の通りそのままオージオグラムを見ることが一般的ですが、人に伝えたりするときは平均聴力レベルを伝えることが多いです。

平均聴力レベルの出し方=
(500Hzの聴力+1000Hzの聴力を2倍+2000Hzの聴力)÷4

例)上記の右耳の平均は、
( 60dB(500Hz)+65dB(1000Hz)×2+70dB(2000Hz) )÷4=65dBとなり、平均聴力は65dBといえます。

⑦難聴の分類

難聴の分類については以前の記事で詳細に説明していますのでここでは省きます。
子供が難聴だった!難聴って?dBとは?

さっくりいうと難聴の分類は明確に決まっているわけではありません。難聴対策委員会の指標やWHOの指針で異なります。今回作った図では難聴対策委員会の指標をもとに色分けで分類してみました。

軽度難聴 : 25 dB 以上 40dB 未満(青色)
中等度難聴: 40 dB 以上 70dB 未満(水色)
高度難聴 : 70 dB 以上 90dB 未満(緑色)
重度難聴 : 90 dB 以上(赤色)

⑥で出した右耳の平均値は、65dBなので右耳は中等度難聴だということがわかります。
しかしグラフの人の右耳の場合、一番聞こえている音で軽度難聴の40dB、一番聞こえていない音で高度難聴の80dBということになり、平均値は65dBではあるが差があるのであまり平均値をあてにしてはいけません。

さて、ここまでが基本的なオージオグラムの見方になります。


次にこれがキーポイント!

オージオグラムを見せてもらったとき私が注意してみるポイント!

ここだけは必ず確認してください!!

実は、男性の声が大体100~500Hzの間、女性の声が200~1100Hzといわれています。
そして小さめの声で50dB、普通の大きさの声で60dB、大きめの声で70dBです。

つまり、下の図の赤い丸のところが人の話し声の領域になります!!!

私は、先ず第一に”人と人のコミュニケーション”が大切だと考えています。
ここの赤丸である人の話し声の領域の部分が聞き取りやすいか、そうでないかでかなり聴覚活用の差が出ます。

※文章や社会性レベルの差ではなく、単純に”聞き取りやすさ”として考えてください。

 

最後に…右と左のグラフを見比べてみてください。
この2つを見比べると…人の声に関しては右の人の聴力(青)のほうが聞き取れているということになります。もしかしたら補聴器での補聴だけで問題なくやっていけるレベルかもしれません。ここがオージオグラムの面白いところでもあり、わかりづらい点でもあります。

難聴者のオージオグラムの平均聴力や、一番悪い数値に惑わされずに、ちゃんと理解して形をみながらオージオグラムを見て下さい!

普段、ふ~ん、前と変わってないなーとか、ちょっと落ちてきた…といった”数値”ばかりが気になるかもしれませんが、こういう見方もありますよ~!というお話でした!^^

 

※私のようにほぼ全く聴覚活用しないタイプの人もいれば、家族となら電話ができるという重度難聴者もいるので、オージオグラムはあくまでも”参考”として、難聴者自身がどういうタイプなのかをしっかり見極めてください!

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