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重度難聴児を30年間育てた母が、意識して教えた声掛け方法6選!厳選してみました!

公開日2015/11/24最終更新日2020/08/14

ユカコ母の話

重度難聴児を30年間育てた母が、意識して教えた声掛け方法6選!厳選してみました!

私の母から育てるときにどういうことに注意したのかとかコツを聞いてきましたのでこれは書かねば!と思い、筆を執ることにしました。

※ちなみに、私の母が私を育てるのにやったことなので、私にとってはBESTだったと思いますが、人それぞれなので、このやり方がベスト!というわけではありません。

Mission1:体験したことをどんどん「ことば」としてインプットをする!

母:とにかくいろいろな体験をさせて、そのあと絵日記とかに記載したり、電車の中で声掛けをするように意識をしていた!

絵日記では擬音語を大切に!

絵日記④

この絵日記は2歳8か月の時なので、名詞と動詞がメインですね。

”つるっと”や、”がっちゃーん”という擬音語、

そして子供が体験した”われる”というイベントを、”われてしまいました”という過去形で記載しています。

 

さらに、”割った”んじゃなくて”割れてしまった”(わざとやった訳ではないというニュアンス)

体験を増やすためにあえて雨の中も歩かせる!

他にも、雨が降っているときは、あえて雨の中をたくさん歩いて
「靴がびしょびしょに濡れてつめたい」

と、”冷たい”とか”暑い”とか目には見えないことをたくさんあえて体験させたそうです。写真で説明できるものならいいのですが、実際に体験したことでしかわからない言葉ってたくさんありますよね。

体験した後ももう一度反復して伝える!

そして、その時もちゃんと「つめたいね」と言うけれど、そのあと絵日記にして書いて、それを基にもう一度反芻させることで覚えさせたそうです。
主に形容詞ですね。痛い、寒い、暑い、冷たい、…そして活用形もいろいろと変わります。

聞こえる人にとっては当たり前の言葉もどんどん入れる!

それが聞こえる母にとっては、どんなにしょうもない言葉や当たり前に知っていることであってもあえて絵日記に入れたり、いろいろと教えたそうです。

Mission2:一日の中で、我が子が知らないだろうなと言う言葉を一つは使う!

絵日記②

”くさっている”という単語を知らないだろうな〜と分かっていた母は、
あえて、くさっているに焦点をあてて”さくらんぼが腐っている”という言葉を入れています。

 

例えば普通なら、「さくらんぼをたべた、おいしかった」となるのではないでしょうか。そこを「くさっていた」といれる母の洞察力と、注目ポイントはすごく素敵だと感じてます!

ユカコ:毎日これを書いていたんだな~と思うとすごいなあと頭が下がる思いです。今更ながらに親に感謝です!ありがとう!

母:ちなみにこの絵日記を書いていた頃ってさ、「日本語ってめんどくさい!むずかしい!!!」ってめっちゃおもったわ〜〜(笑)こんなに奥が深いって、ユカコを育てて初めて知った!

Mission3:イベントばかりではなく、身近なことにフォーカスを当てる!

絵日記③

これは私が風邪をひいたときですね。イベントといえばイベントですが、できる限り身近なことで起きうることに注目しながら絵日記を書くように気をつけていました。

風邪をひいたときの絵日記に書かれていることは
・咳が出る
・熱が出る
という風邪のときしか体験できないことです。

また、基本的に言葉を吸収する時期はユカコが、知らないだろうな~と思う言葉を交えたり、同じことでも違う言い方をしながら話していたそうです。

Mission4:助数詞を意識してインプットする!

温度のはかり方は”○○度”といいますが、こういうことも聞こえていない子は意識的に教えてもらわないとなかなか入りません。
なので、そういった数の単位を表す言葉も意識して声掛けに入れています。

いちまい、にまい、さんまい・・・、いっこ、にこ、さんこ・・・で、言い方も変わるし、もうここはわざと会話の中に入れて根気よく繰り返して教えるしかありません。
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なので、声掛けをするときにも、「スプーンを持っていって~!」じゃなく、「スプーンを5本テーブルに持っていって~!」という言い方をしたりしながら、自然と習得できるようにしてくれていました。

他にも、カレンダーを指しながら、今日は”ついたち”だねとか、数字の入るものをわざと話したりしたそうです。

ユカコ:他にも絵日記をぱらぱらとみてて気づいたんだけど○○枚とか、○○個とかところどころ入っていたのでやっぱり意識してたのー??

母:そうだね、数の数え方はすごく意識したよーーー。説明してもわからないから無意識下で使えるようにしないと思って。しかも数字も読み方変わるし、本当に難しかった!

Mission5:一つのものに対して色々な言い方ができるものは言い換える!

例えばテーブル、こたつ、机、ちゃぶ台…と同じものであってもいろいろな言葉で表されています。

みかんも、おみかんという人がいるし、お母さんのことも、おかん、お母様、かーさん、ママといろいろな言い方があります。

それが本当に色々あるので一つの言葉が正しい!というわけではなく、ひとつのものでも、いろんな呼び方があるんだよということは教えておくべきだと力説していました。

Mission6:文法も、意図的に似ているようで違うものをインプット!

活用形と、似ているようで違う意味をインプットをしてくれていました。
そしてこれは3歳1か月ごろの絵日記。

体験する前の、雨が降りそう、をあえて入れてみる

絵日記①

”雨が降りそうなので”という雨が降ってはいないけれど、”降りそう”という言葉を入れたそうです。

母:降ってしまったときは体験でできるけど、降りそうってあんまり使わないと思って、、、なるべく気にしてみたら、意外とこういうことばも教えていないなあと思って。

ユカコ:いやすごいよ。子供を育てて初めてこの凄さ実感するわ。

もし雨が降ったら…でもなく、雨が降ったからでもなく、”雨が降りそう”。だから傘を持っていく。そして”雨が降ったら”傘をさす。

言葉は似てるけど意味は全然ちがうよーということで、ちゃんと2つとも併せて絵日記にしています。

傘ひとつをとっても、いろんな声かけができる!

傘も子供が使うようなジャンプ傘だけじゃないんだよ、”折り畳みの傘”もっていうよという意味を入れたそうです。そして”折りたたむ”という言葉もなかなか日常生活では使わないし、こういった言葉を考えていくようにするだけでも、聞こえない子にインプットはしやすくなるとおもう!

ユカコ:うん。すごい。

母:私、このとき(ユカコに言葉を教えている3-4年間)が人生で一番脳みそフル回転したわあ~!!ほんまがんばったわ♪

終わりに

あくまでも我が家の例ですがよかったらぜひ!ご参考にしていただけると嬉しいです♡
そして母に出演してもらったデフサポちゃんねるはこちら。

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