【聴者の私から見た、難聴の友人ユカコについて:前編】~ユカコとの出会い、そして“難聴”を感じた瞬間~
公開日2020/02/06最終更新日2020/02/16
健聴者とのコミュニケーション
スタッフN
デフサポ代表の牧野ユカコとは大学からの友人で、ときどきデフサポのお仕事をお手伝いさせて頂いています。
さて、今回は『友人から見たユカコ』をテーマにブログを書かせて頂きます。
ユカコ
スタッフN
ユカコに会ったことのある方はご存じかと思いますが、ユカコはとても明るくてチャーミングでフレンドリーな女性です。
私の娘(2歳)も、普段はとっても人見知りなのに、ユカコには一瞬にして懐いてしまうほど!
そんなユカコとの十数年の付き合いの中で、私が感じたことや学んだことなどを、前編後編に分けてお話しできればと思います^^
ユカコとの出会い
先述の通り、ユカコとの出会いは大学でした。
初めて見かけたとき、ユカコは周りの友達と一見普通にお喋りをしていたので、難聴者だとは思いもしませんでした。お恥ずかしながら、当時の私は難聴に対する知識が全く無く、『難聴の人は全員手話で話す』ものだと思っていたのです。
学部内の自己紹介の時に、初めてユカコが難聴者であることを知りました。
「私は耳が聞こえません。でもみんなの口の動きを読み取って会話をすることが出来ます。だから気軽に話しかけてください!あ、でも、後ろから呼び掛けられても気付けないので、肩を叩いてくれると嬉しいです!無視してるわけじゃないからね~笑。」
身近に難聴者の知り合いがいなかった私にとって、ユカコの自己紹介は色んな意味で衝撃的だったのでよく覚えています。
スタッフN
こんな事を言うとまた自分の無知さを露呈してしまいますが
スタッフN
ユカコに初めて声を掛けるときは、「急に後ろから肩を叩いたら驚かれないかな…」と若干緊張しましたが(普段生活の中で、他人の肩を叩く機会ってあまり無いですよね)、しゃべり始めると、フレンドリーなユカコのお陰ですぐに打ち解けられました。
今になって思うと、難聴者と接するのが初めてだった私でもユカコに気軽に話しかけられたのは、やはりユカコの”とにかく明るい自己紹介”のお陰だったと思います。
ただ「聞こえないんです」と言うだけじゃなく、「こうやって話しかけてほしい」「無視してるわけじゃないよー」と明るく言ってもらえたことで、肩を叩くハードルが低くなりました。
難聴に限った話じゃなく、「自分はこんな人間だから、こう接してほしい」と周りの人に知ってもらうことって大切ですよね。
どうやって話したらいいか、最初は分からなかった!
それからユカコとの友達付き合いが始まりましたが、最初の方は
「どれくらいのペースで話したら分かりやすいんだろう?」
「どれくらい口をはっきり動かせば良いんだろう?」
と、分からないこともあったので、その都度ユカコに確認していました。
結局のところ、健聴者と話すのとほぼ同じスピード感で問題なかったのですが。
仲良くなってしばらく経つと、もはやユカコが難聴者であることを忘れてしまうほど(良いことなのか分かりませんが…)に普通の付き合いになりました。
一度、待ち合わせに遅れそうになった時にユカコに電話をしてしまって、「聞こえへんからメールにしてー笑」と笑われたくらいです。
↑大学4年のときにユカコと旅行した時の写真。神戸から九州まで「青春18切符」で旅しました(若い…)。
ユカコが“難聴”であることを感じた瞬間
そんな鈍感で気遣い下手な私ですが、以前、ユカコが難聴者であることを痛感した出来事があります。
それは、私たちが社会人になって間もない頃でした。ユカコと知り合ってからは既に5、6年経っていたと思います。学生の頃からアウトドアが大好きだったユカコが、同じタイミングでちょうど上京した私をキャンプに誘ってくれました。
何人かの仲間たちと一緒に、楽しくBBQをしたりアクティビティをしたりして、夜は森の中のコテージに泊まりました。
コテージの大きなお風呂で、私とユカコが2人で湯船に浸かっていた時のこと。
いきなりコテージ中の電気が消え、お風呂場も真っ暗になりました。
どうやら誰かが間違えてブレーカーを落としてしまったようです。リビングの方から、「ブレーカー落ちちゃった!」「すぐ戻すよー」といった会話が聞こえてきました。
でも、その会話はユカコには聞こえません。
慣れない場所で、いきなり真っ暗な世界に放り込まれ(しかも服も着ていない状態で)、何も聞こえない、何が起こったのか分からない。
きっと私が想像する以上に怖かったのだと思います。
「なになになに⁈何があったん⁈どうなってるん⁈こわい!こわい!」とユカコは怯えて私の手を握ってきました。
「大丈夫やで、すぐ明るくなるから」と私が言っても、勿論ユカコには聞こえません。私は怖がるユカコの手を握り返すしか出来ませんでした。
そのうちに電気が復旧するとユカコも落ち着きましたが、いつも明るくて何事にもあっけらかんとしているユカコがあんなに怯える姿は初めて見ました。
普段は、卓越したコミュニケーション力と観察力で「聞こえないこと」をカバーしているユカコですが、目から情報を得られないことが彼女にとってどれだけ不便か、恐怖か、私はその時に初めて気付かされました。
普通に考えれば、少し想像力を働かせれば誰にでも分かることなのに、私はユカコとの長い付き合いの中で1度もそんなことを想像したことがなかったのです。
「耳が聞こえないってこういうことなんだ…」と改めて実感したとともに、普段気遣いできていなかった自分を省みました。
それでもユカコが「一緒におってくれてほんま助かったわー!」と明るく言ってくれて、また救われたものです。
難聴者の友達と付き合う上で、過剰に「気を遣う」必要は無いと個人的には思いますが、やはり「気遣い」は欠かせないと思います。そして、相手からどう見えるか、どう思われるかといった「想像力」も。
「こう言った方が分かりやすいかな」
「こんな状況だと相手からどう見えてるかな」
「もしこんな事態のときはどうしたらいいかな」etc..
上記は、難聴者に限った話ではないのですが、人との付き合いの中でついつい忘れてしまいがちです。でも、私はユカコと話すたびにこういった基本的で大切なことを思い出させてもらっています。
(と言いつつ、いまだにユカコの後ろからうっかり声を掛けちゃうこともありますが…笑)
↑この、小次郎、武蔵のTシャツこのときしか着なかったね、、、!
私本当暗闇だけは今もだめで…^^; 肝試しみたいなの、絶対無理!笑
ユカコ
さて、次回はそんなユカコのコミュニケーション力から、私が「これはマネしたい!」と思っているところを書いてみました。
【聴者の私から見た、難聴の友人ユカコについて:後編】~ユカコから学ぶコミュニケーション力~こちらも是非読んでください^ ^