1歳〜2歳児さんにオススメ!ことばを理解し始めた頃におすすめの声掛けを一緒にリストアップしてみよう!言語聴覚士が徹底解説!

前回の育児語の語りかけに続いて、今回は音と物の関連付けができて、ことばの認識ができるようになったらどういった声かけが必要になってくるかをお伝えしたいと思います。もちろん生まれたときから、繰り返しの声かけは必要ですが、もう少し成長した子どもにどういった声かけを意識すればいいのかをみていきましょう。

初期のことばとフレーズは?

ことばの理解ができるまでの前段階として、音と物の関連付けをしている時期があります。このような時期でも、お子さんが注意を払っている事柄に関して自然に話してあげるのが、一番ことばが入りやすいのですが、注目してくれているかわからない場合は、「あ、みてみて!」「あ、きいて!」など注意を促してから話すのも一つの方法です。

育児語のコラムでもお話しましたように、両親の心がけとしては、生まれた直後から聞く音に興味をもってもらえるように、「あっちっち」などの幼児語、「グーグー」(寝ている)などの擬音語をたくさん使ってもらいたいと思います。実際、乳幼児には幼児語を使っている人が多いようで、日本人の子どもは、幼児語や擬音語を初期の語彙として獲得している傾向があるようです。

また、「くりかえし」と「統一性」のあることばが大事なので日常繰り返し起きることのすべてに、同じフレーズをつけてもらうといいでしょう。例えば、毎日の繰り返しで両親が子どもと一緒にやっていることはなんでしょう?おむつをかえる、だっこする、手を洗う、ミルクを飲む、お風呂に入る、歯を磨く、靴をはく、お外に行く、などありますよね。とくに、出来事の「前」と「最中」に同じフレーズを使って話しかけてあげましょう。
例えば「おむつをかえるよ」「だっこするね」「おてて きれいきれいするよ」「ミルク 飲むよ」「お風呂に入るよ」「歯をシュッシュツするよ」「クック はくよ」「お外 いくよ」などと聞かせてから実行します。

18ヶ月までに50%以上の幼児が獲得することばは何?

突然ですが、『日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙』という語彙に関する質問紙があるのですが、開発した先生方の研究結果によると18ヵ月までに50%以上の幼児が獲得する語彙が11個あったとのことです。どんなことばだったか、興味深いですよね?

バー(いないいない)
ワンワン(犬)
あーあっ
マンマ(食べ物)
バイバイ
ブーブー(車)
はい
ニャンニャン(ネコ)
アイタ(いたい)
ネンネ
クック(靴)

が18か月までにラインクインしているようです。

以外なことに、パパ、ママなどがランクインしていません。ちょっと、びっくりです(笑)。実は、上のリストは表出語彙です。理解語彙ならば「パパ」「ママ」「自分の名前」は、13ヵ月で50%以上の子供が理解しているようです。おもしろいことに、早く理解できることばが必ずしも早く表出されているとは限らないようです。

また、「おてて、きれいきれい」「お風呂に入るよ~」と「歌うように」イントネーションをつけると、難聴児が注意を向けやすく、かつ興味をもってもらいやすいといわれています。(詳細は、「育児語」に記載してあります。)家族によって、また子どもの興味によって、教えてあげたい初期のことばや擬音語のリストは異なるかと思います。

動物に興味のあるお子さんなら、動物の鳴き声(ニャーニャー、ブーブー)から入ってもいいですし、乗り物であれば、乗り物の音(ガタンゴトン、ビューン)を中心に繰り返し聞いてもらうことで早く身に着けられるようになると思います。興味があり、かつ繰り返し毎日聴くことができたら、子どもはどんどんスポンジのように吸収していくことでしょう。

余談ですが…「おっちんとん(お座り)」ということばは、地域によってはよく使われるフレーズらしいのですが、読者の皆さんは聞いたことがありますか?初めて聞いたとき、私は何のことかわかりませんでしたが、 私が働いている地域ではよく使われている幼児語だということがわかりました。今は言語セッション中、積極的に使うようにしています。

こういったように、幼児語にも地域差がありますし、子どもによっても興味をもつ物が異なります。
子どもに関わる大人みんなで使いたい語彙を共有できたら。。。そういう時に役に立つのが次に説明する「初期語リスト」です。

初期語リストを、専門家やデフサポに共有してみましょう!

視覚情報や脈絡なしでいきなり「ママは?」と聞かれて、子どもがママの方をみたり、指差したりできるようになっていたら「ママ」ということばを聴覚だけで理解できていると考えられます。理解できることばがあることがわかったときは、きっと家族にとっては記念すべき出来事になるでしょう。

いくつかのことばを理解できるようになったかな?と思われる頃、子どもに集中的に教えていきたいことばを集めて「初期語リスト」を考案しましょう。

言語セッションでは、なるべくその子どもの興味ある物や家で使っていることばを使いたいと思っていますので、家族みんなで考えた「子どもに教えたい初期語リスト」をみてもらっている学校言語聴覚士の先生デフサポでシェアしてもらえたらと思います。このリストについては、どんなリスト例があるかを最後の方に出していますのでご参考になさってください。

ある日、文脈なく突然「初期語リスト」のことばを使って話しかけても、こどもが理解できていることが確認できたら、そのことばは理解語彙の仲間入りです。そのことばの横に○をつけてあげましょう。どのような理解語彙がどのぐらい増えていくかは、初期の言語発達を把握するうえで、大事な指標となりますので、定期的に専門家の先生に報告していただけたらと思います。時間がたつにつれ、「教えたい初期語リスト」に書いた語彙以外にもどんどん理解語彙が増えていくことでしょう。

例えば、お母さんやお父さんをどんな風に家では呼んでいるかなど、できる限り事前に把握しておき、家で使っていることばを言語セッション中に使うように私は心がけています。もちろん、年齢が上になると、例えば「ママ」以外にも「お母さん」「母」などの別の語彙でも理解できるようになっていって欲しいのですが、この段階では、ことばの「繰り返し」と「統一性」が大事なので、同じ表現を使うように心がけましょう。

初期のことばがでたら、どんどんそのあと出てくるの?

ことばが出始めたからといって、そのあとどんどん続いて出てくる訳ではありません。一方、ことばがあまり出てこなくても理解語彙はどんどん増えていっているはずです。

発することばがどんな風に増えていくかというと、10単語ぐらい出た後は、しばらく増えない時期があります。ただ、低迷期のあとに、突然語彙が増える時期を迎えますので心配しないでください。初期の頃は、こんなことばも出た、あんなことばも理解できていると毎回リストアップしていたのに、いつの間にか記録できないほどに増えていくことでしょう。

初期語リストには、、毎日の中で、繰り返して使える初期のことばやフレーズを20~50、繰り返し歌う歌を3~5つ、家族で考えてリストアップできたらいいと思います。家族の間でリストを共有できるように、冷蔵庫に貼っておくといいですね。

そして、理解できるようになったら○を入れて、定期的に報告をしてください。すでにお話しましたように、理解語彙としてカウントしていけますので大変参考になります。また、それらしく自発的に表出もできるようになったら、〇をさらに◎にするかして工夫して、他の人にもわかるように明記しておくとよいでしょう。

初期語リストの作成例

もちろん、家族の中で考えてもらったほうがいいと思いますが、参考がないとリストアップしにくいと思います。あくまでも―例ですが、参考になさってください。

①見て
②ママ・パパ(キーパーソン)
③お座り(おっちんとん)
④だっこ
⑤バイバイ
⑥おして
⑦あけて
⑧いたいいたい
⑨いや
⑦まって
⑧いくよ
⑨あーあ(問題が起こった時)
⑩好きなおもちゃの名前 (アンパンマンなど)

初めて子どもから出てくることばは、どんな家族にとっても待ち遠しいものでしょう。

言葉の理解が表出よりも先であることを意識しよう!

ただ、どんな言語レベルにある子どもでもことばの理解がことばの表出に先行しています。初期の頃は、理解語彙の方が4倍以上というケースも考えられます。 ここで大人が注意しなければならないことは、理解していないことばなのに、音声模倣(子どもに聞いたことを復唱してもらうこと)をさせることです。実は、理解できていない言葉をマネさせてもあまり意味がないと考えられています。理解して初めて音声模倣することに意味がでてきます

また、少しでも子どもの声が出ていたら、それを両親が模倣してあげて、声出しを受け止めてあげてください。例えば、哺乳瓶に目をむけて、手を伸ばしているときに「あー」と声出ししていたら、「あー、ミルクちょうだい、なんだね。」と子どもが要求していることを代わりに言ってあげます。そして、毎日使っているフレーズを思い出して「ミルク のむよ」と伝えたあとに、哺乳瓶を与えるという具合です。

その出来事の最中にも、「ごっくん、ごっくん。ミルクおいしいね」と声かけをしてあげてください。毎回、同じ語彙、同じフレーズを使うように心がけていただけたら、「ミルク、おいしい、のむ」などその時に使っている語彙やフレーズが獲得されていきやすくなるでしょう。

初期に獲得する言葉は名詞が多い!

初期に獲得することばは、名詞が多く、親もついつい名詞を増やしたがる傾向があります。
ただ、名詞だけだと2語文(※2語文よりも専門用語では2語発話や2語連鎖が使われます)につながりにくいです。

もちろん二つの名詞を並べて「ママ クック」 (ママの靴)などの所有格の表現につながるかもしれませんが限定的な表現になります。

なので、名詞だけでなく、動作語、様子ことば、を教えたい「初期語リスト」にまんべんなく
含めてあげて、意識して日頃使うようにしましょう。

繰り返し日常で、名詞語以外の初期語を聞いていると2語文につながりやすくなります。リストにあげた語彙が2語文になるとしたらどんな風になるでしょう。

「ママ みて」
「ママ すわって」
「パパ バイバイ」
「パパ あけて」
「ブーブー ちょうだい」
「パパ だっこ」

一般的に理解語彙が100語以上あって、表出語彙が50語を超える頃に2語文がでてくるといわれています。「ママ みて」など2語文が出てきたときに「もしかしてさっきの2語文?!」と日記に書いてしまうほどのうれしい出来事になるでしょう。今までの育児語・初期語の次のステップである2語文についてはまた別の項目でお話します。

最後に

大人は、表出されることばについつい目をうばわれがちですが、理解語彙こそことばの幹の見えない根っこ部分です。今回は、子どもがことばを理解しやすくするための育児語に続く、集中的に教えたい初期語とそれを共有する方法の初期語リスト作成に焦点をあてて話しました。

育児語だけでなく、子どもに教えたい初期語リストのことばを意識して、子どもが注意を向けている事柄に関してたくさん繰り返し話しかけてあげましょう。

矢崎 牧 先生

本記事執筆:兵庫医科大学病院の耳鼻咽喉科専属の言語聴覚士です。カナダでオーディオロジー(聴覚)の勉強と経験を積んだあと2005年に帰国しました。自分の仕事は天職だと思っています。