【ユカコの話】難聴者の私が普通学校で感じたメリット10選!:前半編
公開日2015/09/20最終更新日2020/05/25
学校生活での配慮
デフサポ ユカコ
とはいえ他の人はどうか分かりませんが、本当に”学校選び”は人生に大きな影響を与えるので是非お子様にとってベストな環境を用意してあげてください。
まず、難聴者が選ぶ事の出来る学校の選択肢はいくつかあります。
本当は”学校”に行かずに”ホームスクーリング”や”通信教育”等もありますが、現状の日本ではあまり現実的ではないので聾学校や普通学校に絞ってお話をしたいと思います。
さて。現在の日本での学校の選択肢は大きく分けて3つあります。
・聾学校
・難聴学級
・普通学校(インテグレーション)
小学校入学時、中学校入学時…と子供の人生の節目のときに悩む親御さんは多いと思います。
私はいわゆる”民間の言葉の教室”には通いましたが、それ以外はすべて普通学級で育ってきています。当時は難聴学級もありませんでした。
そんな私は聾学校の経験はお答えできませんので、普通学校で育ってきてよかったと思うところ、大変だったと思うところを記載していきます。
①聞こえる人と当たり前の友人付き合いができるようになった。
例えば、”言われて嫌な事”を知ったり”謙遜”のしかたを覚えたり、”陰口”や”噂話”を言ったり、本当に幼少期から思春期までの多感な時期の人付き合いを自然と学ぶ事が出来ました。
もちろんそれまでに色々喧嘩したり、言い過ぎたり、、、と失敗はしまくってきています…!ただ、そういった失敗をしながらお互いが人間関係を学んでいく時期である幼稚園、小学校で経験できたのは本当に良かったなあと思っています!
自分で言うのもなんですが・・数多くの素敵な友人に恵まれているのは本当に今までの環境で人付き合いを学んできたからこそだと実感しています。
②世間一般の常識や、暗黙のルールを知る事が出来た。
冗談や、謙遜を覚え、そして教師や友人の親には敬語や丁寧語で話すべきであることや、何でもかんでもストレートに言うのではなく遠回しに伝える事等場面場面でしか学べない事を数多く学ぶ事ができました。
そしていろいろとその暗黙のルールは社会人になった今でも大変役に立っています。
③障害のことを伝えるタイミングがうまくなった。
私自身、小学校入学、クラス替え、中学入学、受験、高校入学…と様々なライフステージで”自分”で障害の事を説明してきました。親のフォローが強くあったのは幼稚園から小学校入学まででした。習い事や、塾なども自分で伝えてきた事で、伝えるタイミング等を掴む事が出来ました。
もちろん、たくさん失敗もしてきました。ああ、もうちょっと早く言えば良かったな…とか、あ、ここは全員に話しておくべきだった…!とか本当にたくさんプチ後悔したからこそ…今、ベストなタイミングで伝える事ができるようになりました。
そして自己紹介を何も考えなくても口から勝手に出てくる感じになりました!
④口話を読み取るのがとても得意になった。
どうしても普通学校で育っていると、登下校や休み時間に大人数で話したり、5−6人くらいのグループでディスカッションをする事が多々ありました。そんな環境下で育ってきた私は今現在6人〜8人程度の会議であれば問題なくこなす事が出来ます。
これも、きっと学校で鍛えられてきたからだろうな〜と思っています。
(ただ、向き不向きはあると思うので、お子様が出来ないなら別の方法もあると思います!ノートテイクとか。)
⑤聞き返したりするタイミングを掴めるようになった。
やはりどうしても、分からない事は多かったです。その中で”いつ聞き返すか”ってすごく大切だと気がつきました。会話の間を壊さないように、終わってから聞き返したりすることもあれば、会話を遮って聞き返す事もあります。
でもタイミングが掴めるようになったのも何度も失敗してきたからなんですよ。場の雰囲気がシラケたりしたのを見て、あ。。ミスった・・・!と思う事もありました。
ただその甲斐あって、「ああ〜今は聞くタイミングじゃないな〜もちょっとしたらきこーっと!」とかそういう間を掴むのがうまくなりました。
そして、どういうふうに聞き返すか、誰に聞き返すか?といった生活の力みたいなのもついたなあ〜というふうに思っています!
⑥格段に世界観が広がった。
単純比較として、確実に聴者のほうが難聴者よりも数千倍人数が多いと言えます。なので、聾学校で出会う人数よりも、確実に普通学校で出会う人数の方が多いんですね。
そして気のあう人や、趣味のあう人、憧れの人、尊敬できる人。。。反面嫌いな人や意地悪な人…いろいろな人に接する事が出来ます。正直言うと、色々と嫌な目にあったり、差別意識の強い人にもたくさん会います。
ただそんな人と最終的に仲良くなったり、もうどう考えても天才過ぎへん!?すごい!と思える人を見る事も出来た環境でした。
とても私の人格形成に大きな影響を与えていると日々感じます。
加えて、学生時代も、会社に入ってからも本当に恵まれていて、周囲の人たちに素敵な人が多く、世界って本当に広いな〜と実感しました。
⑦学力が向上した。
私の環境や負けず嫌いな性格もあったかもしれませんが、小学校時代は周囲の友人たちと切磋琢磨してテストの結果を教え合ったり、中学時代は塾のクラス分けがあったりで、様々なライバルがいました。
そして全国模試を受けたり。そんな環境にいると意識をしていなくても最低限の学力は付きました。しかも、同じ高校からも大学進学99%だと、当たり前のように、大学に行く前提で色々と勉強もできたのが良かったなあと思っています。
人は環境に応じて成長すると私は信じています。周囲の環境のお陰でそれになんとか付いていこう!と言う気持ちもあり、結果的に私自身の場合は聾学校で育つよりも最終的には数倍向上したのではないかと思っています。
⑧就職活動も、社会人生活もうまくいったのは、今までの環境があるから。
これまでに健聴者と過ごしてきているため、私は聾学校特有の感覚は分かりません。ただ、私はそれで良かったと思っています。就職活動や健聴者とともに働く事が違和感無くすんなり出来ているのは、これまで普通学校で育ってきたからだと自負しています。やっぱり一般常識等最低限の事が既に当たり前に身に付いていると、”ええ!?そういうふうにするの!?”という部分が少なくてすみます。
⑨自分を客観視することができるようになった。
聾学校のように至れり尽くせりでないぶん、健聴者は当たり前にできるけど、私はできない。という場面がとても多いです。ハッキリ言って聞こえないことによって補えない部分が手の指では収まらないくらいぱっぱと出てくるくらいです!
自分の出来るところ、出来ないところ、そして場面に応じてこういう時はこう言う風にお願いするべき・・・といった対処法が客観的に分かるのはとても大きな財産だと思っています。かなり客観視して伝えることができるようになったことは、今にもすごく生きているように感じます。
⑩発音が上手になった。
もちろん聞こえる人と同じように話せる訳ではありませんが…小学校時代はイントネーションが本当にバラバラでした。”イントネーション”が変やで!と、周囲に指摘してもらったお陰で今は”エセ関西弁”と言われる程度になりました(笑)
たとえば”パフェ”などの発音も最初間違えており、何度か言って、みんながそうそれ!!と言ってくれたり。
そして家でも、本でも使わないような言葉を教えてくれたのも多くの友人たちでした。”しやなあかんねん!”とかどういう意味!?と悩んだのを覚えています。
そういう風に指摘してもらえたからこそ、今相手に伝わる発音で話す事が出来ていると実感しています。
他にもまだまだ書きたい事はありますが…
まずは10個選んでみました。是非参考にしていただければと思います。もちろん聾学校だから出来ないという訳ではありません。あくまでも”私自身”が普通学校に通ったお陰でできていると実感している事です。
そして次は普通学校で苦労した点や、デメリットについて述べていこうと思います。