難聴者が健聴者以上に語彙を増やす方法!
公開日2017/03/31最終更新日2017/03/31
ことば・語彙
デフサポのユカコです。
本日は前回から続いて、どうやって健聴者以上に語彙を増やすのかというお話しです。(前回記事:難聴者は人一倍語彙数を増やすべき、その理由はたった一つ!)
難聴者は語彙が少なくなってしまうことが多いが、その反面語彙の豊富な難聴者もいる!
難聴者の多くが耳が聞こえないがゆえに語彙が少ない・足りないといわれる一方で、実際は人よりも語彙が豊富な難聴者(5万語以上の語彙数のある難聴者)もいます。
この差はどこからくるのか。大抵の人がきっと「元々の頭の良さでしょ!」と思っていそうですが、、、
実際は、違います‼‼
「聞こえないため語彙が入りにくい」ことは難聴者みんな同じですが、頭の良さではなく、難聴児の教育の仕方や、ご両親のことばの入れ方によって語彙数の差が圧倒的についてしまいます。 差がついてしまう理由について詳しくお話しします。
差が付く理由は主に3つある!
①難聴児のおかれている環境
・手話か日本語のどっちをメインの言語にするか
→手話を中心とした場合多くの語彙が一つの手話で表す事ができてしまうため、どうしても語彙は少なくなってしまいます。そのため必然的に口話を選択したほうが単純に語彙数はUPします。
※しかし口話よりも手っ取り早く100%正解の情報を伝えられることが手話のメリットでもあります。どちらがいい悪いではなく、手話を選択する場合は語彙が少なくなりやすい現実を知って、その対策でちゃんと語彙を入れてあげてください。
・聾学校か一般校(+療育等)のどっちの環境で育てるか
→子供は周囲から覚えてくる言葉も蓄えて自分のものにしています。周りの言葉のレベルが上がってくると必然的に聞くことばの語彙数が増えてくるため、周囲が健聴者か難聴者かで大きな差がついてきます。幼児期のうちはそう大きな差はありませんが、自分で言葉をかみ砕くようになる小学校3,4年あたりからは環境による差が大幅に広がってきます。
※聾学校、普通学校どちらを選択してもメリットデメリットがあります。どちらを選んでもOKですが、デメリット点をうまく家庭でフォローすることが大切です。
②ご両親の教育方法
・ご両親がお子様に言葉をどれだけ語り掛けるか
日常会話で使われる言葉は意外と少ないです。(日常会話の語彙数はこちら→★)
難聴児は6歳くらいまでは主にご両親からの言葉をもとに語彙数を増やしています。日常会話で言葉の語り掛けで多くの言い回しをどれだけ意識して会話に取りいれることができるかで差がついてきます。
・ご両親が難聴児の弱い言葉を把握して教えることができているか
→ことばの語り掛けが多くても、同じような言葉ばかり使っていてはあまり意味がありません。こういった言葉を入れよう、擬音語は難聴児が弱いから入れようという風にちゃんと考えて入れてあげることで差が付きます
③★重要★学習言語の土台をしっかりと作れているか
自分で文章をを読んでその内容を理解できる、こういった学習言語の土台を作ってあげ、学習言語の自発的学習ができるようにすることで語彙の差が圧倒的につきます。(学習言語の説明はこちら→★)
健聴者以上に語彙を増やすためには学習言語の自発的学習が一番効果的!
学習言語の自発的学習とはどういうふうにやるのか?いろいろなやり方がありますが一番いいのは
『自分で楽しく読書』ができるようにしてあげること!
本当にこれにつきます。本を読ませることで、必ず語彙数は飛躍的に向上します。
本を自分で読むことができ、その内容を理解できる力が一番大切です。難聴児のように耳から言葉が入らないなら目で入れちゃうのが一番確実です!そのためには一にも読書、二にも読書、三にも読書!と言っていいくらい読書による語彙数の増加はとても大きく、難聴児には絶対に読書を好きにさせるべきです。
しかし、そのまえに忘れてはいけないポイントがあります!
難聴児に本を好きにさせるためには聞こえる子とちがってワンステップ挟もう!
聞こえる子には「読み聞かせ」→「本を自分で読んでもらう」所からのスタートがいきなりできますが、難聴児にそのやり方はお勧めしません。なぜかというと「学習言語の自発的学習」ができる土台を作ってあげてからでないと、本の内容が理解できないため!です。
例えば、普段本を読まない大人が 『ビジネス書』をサクッと読めますか?きっと最初の数ページで読む気をなくすでしょう。でも、こういった本を読みなれていたり、本が好きな場合、また興味がある分野の場合はどんどん読み進めていけるはずです
これと同じで、読書ができるだけの土台を作っていないと「本って難しい・・・」と難聴児本人が感じてしまうことになります。そうなると、本が嫌いになってしまったり、「本って難しいものだ…」と脳にインプットされてしまいます。
なので、難聴者の場合は必ず「絵本の読み聞かせ」→「本を読むための土台作り」→「自分で本を読んでもらう」とワンステップ挟んでから自分で本を読んでもらうことで本に対しての苦手意識を作らずに「本って楽しいんだ!」「面白い!」と思わせることができます。
小さいうちから早く読んで!本読んで!と強要するのではなく、まずはちゃんと本を読めるだけの下地づくりを終えること。
そして絶対に読める本から順にクリアさせることで、成功体験を積むことができれば必ず本を好きにさせることができます。
読書人間になってもらうためには、焦らず、焦らず、まずはできることから。