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人工内耳&中等度難聴の子は聞こえてそうで聞こえていない事が多い!

公開日2017/07/31最終更新日2017/08/01

■人工内耳と補聴器

人工内耳&中等度難聴の子は聞こえてそうで聞こえていない事が多い!

デフサポのユカコです。
これは、ずーーーっと書きたかったことです。人工内耳と中等度難聴の子を持つご両親へのお話し。

友人(右)の子供、Mちゃん(中央)は今中学校1年。
両耳人工内耳をしています。
人工内耳についてはこちら★

(友人からのメッセージも近いうちに載せます!✨)

友人が反省していることと、私がすごく気にしていることが一緒でこれは絶対ブログに書かなきゃ!と。2か月たってしまいましたがようやくかけました!

人工内耳をすると割と聞こえが良くなって、ことばとか、会話を分かってると勘違いしているご両親が多い!!

もう、これ本当に鉄板!というくらい。
ずっと危機感を感じていたのですが、ついに!今日はそのお話しをしたいと思います。
※人工内耳!と書いていますが、中等度難聴者にもかなり当てはまりますので、人工内耳&中等度難聴として記載させていただきます。

人工内耳&中等度難聴の子が聞き取りやすい場面と聞き取りにくい場面について。

■人工内耳装用者が聞き取りやすい場面
・静かなところ
・親兄弟のようによく話す人
・聞き取りやすい音域の人
・よく知っている言葉

■人工内耳装用者が聞き取りづらい場面
・騒がしいところ
(学校、飲食店内、繁華街、ゲームセンター等)
・普段話さない人や初対面の人
・集団での会話
・早口で話したり、もごもご話す人
・知らない言葉

あるきっかけでハッと気が付いた。普通学校では全くコミュニケーションができていなかった!

友人の娘さんのMちゃんは聾学校に通っていましたが、小学校6年の時、地域の普通学校との交流がありました。

そのとき友人も1日中全部の授業を見学していたので気が付き、その後連絡が来ました。

「家では問題なくコミュニケーションがとれててん。
口も見ていないし、ほとんど耳から聞いてことばがわかっているし、家族となら電話もできるくらいやねん!✨

でも、実際に外(普通学校)に行くと全然分かっていなくて、ここまでわかっていないのか…と思って…。人工内耳で確かに前より聞こえは良くなったしすごく効果はあるけど、聞こえる子と比べたらもちろんぜーんぜんわかってへんかったんやな…って思ってん。ついつい忘れてたし、ホンマにショックやった!。」

娘さんは、両耳人工内耳をつけており、家ではほぼ口話で会話をしています。
また、兄弟は健聴児、そして祖父母や親戚の人もみんな聞こえる人なので、普段聞こえる人との交流が全くないわけではなく、聞こえる人とも話すタイミングはたくさんあります。加えて、お母さんとなら電話もできるし、音楽もちょっと楽しめる。

はっきり言ってMちゃんは私よりも数倍上手に、耳を活用しています。

 

それでも普通学校は難しいところがあるんですね。やっぱり慣れとタイミング、そして聞こえる子との経験がすごく大事だと思っています。

普通学校での想像と現実

■友人の想像
・騒がしいとわかりにくい
・授業のように静かな場面では、集中すれば聞ける
・友達との会話は1:1だと問題ない
・複数人の会話だとちょっとわからなくて聞き返すかも?

全体で7割とはいかなくても4~5割は分かる!と思っていた。

しかし・・・

■普通学校での授業の現実
・授業の流れはハッキリ言ってほぼ全部分かっていなかった
・先生なりに気を使っているけど、聾学校に比べて早口なのでついていけない
・先生がたまに、黒板に向かって書きながら話したりするので分かっていない
・先生のそもそもの簡単な説明すら理解できていない
(例)「今から隣の子とペアになって~!」とかが聞き取れていない
・みんなが手をあげたら雰囲気でとりあえず手を挙げてしまう(でも、あてられたら全然分かっていなかった)
・同じようにみんなが盛り上がっていたらとりあえず笑ってみる(でも全然理由は分かってない)
・先生が絶対答えられるような「簡単な質問」を用意してくれていたがその「質問」を聞き取れていなかった
(例)「Mちゃんはどこに住んでいますか?」みたいな簡単な質問。

「既に学んだことのある内容」だったにもかかわらず一般の学校では授業自体が全然聞き取れていなかった事がとてもショックだったそうです。
はっきり言って90%以上分かっていなかった!!と言っていました。

更に、休み時間でもこんなことがありました。


■普通学校でのお友達との会話の現実

「鬼ごっこしよう!」
→聞きなれている言葉なので割とすんなりわかった

「Mちゃん、何人兄弟なん?」
「ジャニーズで誰が好きー?」
→会話がわからず、何度も聞きなおすけれど、1:1での質問形式なので、最終的に会話としては成立

「そうそうー今週土曜日ってどうするー?」「えー、どうしようかなあ、とりま、天王寺あたりで集合どう?」
→4人でワイワイとそれぞれ話しているシーンではほとんどわかっておらず、とりあえず適当にうなづく

こんな感じだったそうです。

 

ずっと一緒に見学していた友人が言うにははっきり言ってほぼ全部分かっていなかった、全体で見てようやく1割くらいわかったレベルだと思う…とのことです。
かなり内容が分からず、友人もショックだったとの同時に、Mちゃんもショックだったんですね。

自信喪失と挫折

Mちゃんは、何度かは頑張って一般校の交流に通ったそうですがそれでもお母さんが一緒じゃないと無理だったこと、そして最後はもう行きたくない…と言っていました。

聞こえる世界で、聞こえる子と実際に一緒に過ごしたところ、全然会話にもついていけなかったことから一気に自信喪失してしまいました。

この子、本来はめっちゃ明るくてニコニコしてていい子なんですよ!元々の性格ははっきり言って明るい方だと思います。

でも、聞こえる子との会話に自信がないので、聞こえる子の前だとすっごーーーく大人しい子になっちゃいます。

こういったことが起きてしまうと、どうしても「すごくもったいない~!!!」と思っています。

結構こういう子多いんですよね。
聞こえない子の中では自分をさらけ出してるのに、聞こえる子の中では萎縮しちゃって、、、

そういうのがないように、聞こえる子の中でも普通に自分らしくいれるようにも、コミュニケーション面での自信を持たせてあげたいなあと思います!^^
そんなに難しく考えなくても、会話のパターンはある程度一定なのでそれさえ攻略してしまえば割と対応できることも多いです。こちらについては後日記事にします!

人工内耳・中等度難聴は聞こえているようで聞こえていないことがすごく多い。特に家は一番会話がしやすい場所なので分かりやすい!

Mちゃんの場合は先ほども言った通り家の中の会話はほぼ分かります

家の中ではそういうレベルで済んでいますが、学校にいくとそれだけざわざわしているうえに、普段会話したことの無い子もいるわけで、本当に理解力が格段に下がってしまいました
これは人工内耳装用者だけではなく、中等度難聴の子にもかなり当てはまります。

そしてもうひとつ、大事なこと。

補聴器&人工内耳での聞き取りテストの結果を過信してはいけない!

うちの子、聞き取りテストでも結構わかってるし大丈夫…!というご両親もいると思います。

でも…!聞き取りテストを過信してはいけません!!
実際のMちゃんの聞き取りテストがこちら。
新しくつけた人工内耳(小学校6年)の結果です。こちらはかなり最近につけた人工内耳なのですがMちゃんの場合はかなり人工内耳が合っていて、これだけの聞き取り能力レベルがあります。

人工内耳の聞き取りテストで93%の成績!

ハッキリ言ってかなり聞き取れています。
それなのに、普通学校ではほとんど会話がわからずついていけない現実…。

つまり、何を言いたいのかというと…
人工内耳の聞き取りテストと日常は、環境が全然違う!ということです。
聞き取りテストがどれだけ良くても、やっぱり生ものの会話は違います。会話のテンポや空気感、そういったものも含めていろいろとサポートが必要になってきます。

家で会話ができていても…雑音の多い場所で、聞こえる子と会話をすると分かっていないことが多いことを忘れてはいけない!

ついつい忘れがちなのですが、このことを忘れないでください!
結構ご両親との会話が大丈夫なことから、こういったサポートが抜けてしまう子供がたくさんいます。

厳しいことを言うようですが…

人工内耳でも、中等度難聴者でも聞こえないことに変わりはありません。

だから聴覚障害者なんです。どうしても日々の日常に安心してしまいますが、その危機感を持ち続けてほしいと思います。

…と厳しいことを書いてきましたが、私自身が経験してきた学校生活の乗り切り方のコツもいずれお伝えしたいと思います!(^^)v

次回は引き続き人工内耳の子の言葉についてお話ししますー^^

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