トップページ > 重度難聴者がお勧めする、絵本の読みきかせポイント6選

重度難聴者がお勧めする、絵本の読みきかせポイント6選

公開日2015/08/25最終更新日2018/03/24

絵本の選び方・読み方

重度難聴者がお勧めする、絵本の読みきかせポイント6選

こんにちは!デフサポのユカコです。

実は、個人的に今でも思っているのですが難聴児の教育現場の絵本の読み方は「いやいや、これ、何言っているのか分かりにくいな〜」と思うような場面が多々ありました。
言語聴覚士(ST)さんやろう学校の先生方も聞こえる人ですし、真の意味で分かっている人ってなかなかいないですよね。

というわけで!私自身がお勧めする絵本の読み聞かせ方をご紹介したいと思います!
もちろん完全に耳から聞いている子も多いので絶対これ!とはいえませんが個人的にはこの読み方を大事にしてあげてほしいなと思っています。

①対面に座って、本と読み手の顔は出来る限り近づけること

本と顔の両方があまり目を動かさなくても見える範囲にあることが大事になります。
特に人工内耳や軽度難聴のお子さんの場合耳から聞くことが多いのであまり口を見ることがない…とおっしゃるご両親が多いのですが、口ももちろんですが、読み聞かせでは顔の表情を一緒に見せることが大事になってきます。

顔の表情を見せることで、この場面は面白い場面なのか、怖い場面なのか、主人公はどういう気持ちなのか・・・といったことを汲み取ることができるようになります。

②はっきりとした口調は大事だが、1字1字区切らないこと

普通に話していて一字一字区切ったりしませんよね?
日本語は助詞や助動詞、接続詞等で区切ります。
なるべく句読点をつける場所を意識しながら区切ってください。

基本的に聞こえないからと意識して丁寧に話しすぎるご両親もいらっしゃるのですが、そうではなくて大事なのはテンポです。

「むかしむかしあるところに おじいさんとおばあさんが住んでいました。」

NG例
「むかし/むかし/あるところに/おじいさんと/おばあさんが/住んで/いました。」

このくらい丁寧に区切りながら読むのではなく、普通の区切りで読みましょう。
意識するのは句読点になります。

(3歳ぐらいまでならOK)
「むかしむかし/あるところに/おじいさんとおばあさんが/住んでいました。」
(4~5歳以上ならこっち)
「むかしむかし あるところに/おじいさんとおばあさんが住んでいました。」

こんな風に読むように気をつけてください。 

③何度か呼んでいる絵本は普通のスピードで読む。(聞こえる子に読み聞かせるのと同じスピード)

聞こえないお子さんは必ず何処かで予測で補いながら会話をするようになります。
(大体一般的に4歳を過ぎてくると、自分なりにわからなかった言葉の予測をしながら会話をし始めます。)

そういった将来のことも考えていまからなるべく通常の会話のテンポに慣らせておきましょう!
その第一歩として絵本の読み聞かせはすごくいい教材です!

特に一回読んだことがあり、ある程度ストーリーを理解している場合はいつもよりも早めのテンポで読んでも分かるんですね。
なので、ぜひ取り入れてください!
 
絵本から少し話はそれますが…
家庭や療育センターなどではお子さんが聞こえないとわかっているのでとにかく「わかるように」「ゆっくり」「ていねいに」話すことが多いです。もちろんそういった場面が必要になることも多々ありますが、聞こえる子とともに過ごす可能性がある場合はなるべく今のうちから普通の会話のテンポを意識しておくのもおすすめです!

我が家では絵本は母がよく読み聞かせてくれていたのですが、絵本を読むときに聴者の妹と同じスピードで読んでいたそうです。

④一文を読んだら、間をおくこと

聞こえる子は耳から聞きながら同時に絵本の絵や文字を追っています。
しかし!難聴児はどうしても耳から聞いたとしても頭のなかで情報を整理する時間が必要になります。私のように口を読む子も言わずもがなです。

なので、絵本をよむときのテンポは速めでもいいですが、「間」を取ってあげることを意識してください。

①絵や文字を見る時間【間】 
②文章を読む【絵本の文章や声に集中】
③頭のなかで文章を整理する【間】
③もう一度場面の絵を見る【間】
④次の絵に進む

流れ的にはこういうイメージです。
この読み方をする事で、難聴児にとって「絵本としての機能」が生きてきます。

⑤口の形や、聞き取りに集中する練習

手話オンリーで過ごすならこちらの練習は不要になりますが、少しでも口話や、発音を取り入れるのであれば、絵本をつかって口の形や発音、ききとり等を鍛えるのもおすすめです!

絵本の場合「絵」という補助があるので、難聴児にとっても楽しみやすく、コミュニケーションの取りやすいものです。
そして、聞き取りなどができるようになったり、口を読めるようになってくると次はいろいろと要約したり、問いかけてみたりと、本当に質のいい教材になります。

⑥知らない単語や文法がでたらサラッと、教えていく

絵本はいろいろな言葉があるので、なんとなーく意味がわかるような言葉もあれば、全く知らないだろうな〜という単語や文法も沢山有ると思います。ついつい強調して教えたくなるのですが、分かった??等とはあまり聞かないようにして、「これは、〇〇ってことだよ〜」という風にサラッと教えていくことをおすすめします!

★さいごに★何よりも楽しく読んであげる!

私自身、聞こえないために言葉がはいりづらいのですが、「本」から様々な言葉を学んできました。
なので、絵本は出来る限りたくさん読んであげるべきだと考えています。

ただし、ご両親が結構な負担を感じる”なら、私は絵本を読ませなくても良いと思っています。ただでさえ難聴の子がいると大変なのにさらに負担が増えるとしんどいですもん。
そのかわりに誰かに読んでもらったっていいんです!おじいちゃんとかお婆ちゃんとか。保育園の先生やお友達でも良いかもしれない。

そんなときに上記の事をおねがいしちゃってください。
大事なのは、絵本を義務感やしんどい思いで読まないことだと思っています。

なによりも楽しく!やっていきましょう♪

どんな絵本を選んだら良いの!?という方にはこちらもおすすめです◎
絵本の選び方はこちら

お子様のことばの力に合わせたオーダーメイド教材を配信中。
ホームトレーニングで効率的にことばの力を育みましょう。

難聴についてもっと知りたい方へ