【難聴×ことば】正常な言語発達との差と、言語検査について
公開日2018/03/03最終更新日2018/03/24
ことば・語彙
【2018/3/1:講演についてのお知らせ】
3月17日(土)山口講演 13:00−15:00→山口南総合支援学校にて。
まだお席はありますのでお気軽にお申し込みください。
3月18日(日)福岡講演 13:30−15:30→博多駅近辺にて。
会場のキャパシティ上、残り2−3組で締切となります。※3/9追記 福岡会場はお申込人数が会場のキャパシティに達したため締切とさせていただきます。
申込みフォームはこちら★
ブログの更新が滞っていてごめんなさい〜!お久しぶりです♡ユカコです。
今日は言語発達について!皆さん気になっていると思いますし、今回はそちらを重点的に書いてみました〜!
正常な言語発達を知ることの大切さ
私がすごく大事だと思っており、常々カウンセリングでもお伝えしていること。
ユカコ
そしてお子さんがどういった言葉が苦手なのかということを理解して、苦手なところを効率よくキャッチアップしていくこととが大事。(もちろん子供によって苦手な言葉はそれぞれ異なります)
もちろん難聴児は言葉の発達が遅れることが多い為、正直いって、現実を見たくない〜!という人も多いかもしれません。
でも言葉を伸ばすためには一般的な発達と、目指す目標を知っておくことが大事です。「聞こえない子の中で一番できるから安心!」でもないですし、「聞こえる子よりこ~んなに遅れてるからやばい!!」でもありません。
何をすべきなのか。何が足りないのか、どのくらい差を埋めると良いのかを考えてほしいです。
一般的な言語発達推移
0歳台
・音に反応したり、喃語を話しはじめる。
※基本的には難聴児であっても一般的な発達と変化はありません。
1歳〜1歳5ヶ月
・1語文を話す
・限定的な単語を話しはじめる。
→まんま、ぶーぶー、わんわん、パパ等
・習慣になっていることの会話や指示が伝わる。
→ゴミ箱にポイしてきて
→トイレいってくるね
→これはだめ!
1歳6ヶ月〜1歳11ヶ月
・2語文を話しはじめる。
・どっちにする?どれにする?等の簡単な質問の理解ができる。
・よく聞かれることの多い質問にジェスチャーで答えることができる。
→何歳?→1歳!と指を立ててサインをする
→ありがとうは?→ペコっと頭を下げる
→バイバイ!→バイバイとジェスチャーをする
2歳0ヶ月〜2歳10ヶ月
・3語文を話しはじめる
・語尾を上げて聞く質問に答えることができる。
→ごはん食べる?→うん!
→お風呂に入る?→ヤダ!
→公園で遊ぶ?→うん!
・お名前はなんていうの?という質問に〇〇ちゃん!等と答えることができる
・1歳6ヶ月〜11ヶ月のときにジェスチャーで返していた質問に音声で答えることができる
→何歳?→2さい
→ありがとうは?→ありがと
→バイバイ!→バイバイ
・仮定の話をされても理解ができる。
→もしかすると、明日は雨かも!
→例えばはなちゃんが叩かれたら嫌でしょ?
→もし、病院で泣かなかったらアイスを食べよう!
・簡単な疑問詞に音声で答えることができる
→いちごと、バナナ、どっちがいい?→バナナがいい!
→今日は誰とお風呂に入る?→パパと入る〜
→公園で何をして遊ぶ?→んーと滑り台と〜お砂場と〜…
※このあたりまでは正常な発達の子でも差がすごく大きく出やすいため、2歳後半まではあまり言葉のレベルの差を感じないことがあります。
2歳11ヶ月〜3歳9ヶ月
・言葉での答えのいる疑問詞に対して言葉で答えることができる
→どうしてお友達を叩いたの?→ぼくのトミカを取ったから!
→どうやって公園まで行こうか?→今日は暖かいから歩いて行く!
→どのお人形が好きなの?→ぼくはこのお人形がすきだなあ
・文章を修飾することが上手になる。一文あたりが長くなってきても上手に話すことができる。
→まっかで、あまーいいちごが大好き!
→わたるくんのおうちは、ほいくえんからとってもちかくにあるんだよ。
→あのね、ママが今日はおしごとが遅いからお婆ちゃんが迎えに来るの。
・仮説をたてて→因果性を想像して→その順番どおりに話すことができる
※このあたりからは、差が縮まってきて、言葉が遅かった子も追いつきはじめます。
2歳後半まで上手に喋れなくても3歳を過ぎてくると大抵の子がある程度お話ができるようになります。
3歳10ヶ月〜4歳11ヶ月
・原因と結果についての会話が成り立つ
→はなちゃん、赤なのに渡ったらだめだよ!
→今日はとっても寒いから上着を着てね。
そうなんだ、そしたらマフラーももっていこうかな!
→どうしてわたるくんに怒ってるの?
だってわたるくんが、ぼくがつくった(ブロックの)車をこわしちゃったんだもん。
やめて!っていったのにきいてくれなかったの。
そっか〜そしたらわたるくんがごめんねってちゃんとあやまったら許してあげられる?…といった会話
5歳0ヶ月〜5歳11ヶ月
・同世代の子だけで連続する談話ができる
・論理的思考を使った会話がすこしずつできるようになる
・自分の考えていることや、行動の意図を言葉で説明することができる
・相手の気持を推し量った会話ができる
こんな感じです!なんとなーくのイメージが掴めたらうれしいです。
難聴児は一般的な発達からどのくらい遅れるのか?
難聴児が一般的な発達からどのくらい遅れることが多いのかというと、、、平均的にこんな感じかな〜とおもいます!
もちろん年齢以上の発達の子もいれば、これよりも遅い子もいます。
・1歳〜1歳5ヶ月
約4ヶ月〜6ヶ月遅れ
・1歳6ヶ月〜4歳11ヶ月
約1年〜1年半遅れ
・5歳〜5歳11ヶ月
約1年〜2年半遅れ
いろんなお子さんを見る機会がすごく多いのですが、やっぱりろう学校や療育センター等に通っていてもこのくらいはどうしても遅れる子が多いな〜という印象でもあります。でも、どの子もやっぱり低年齢のときのほうが、差は少ないんですね。
なので、早い段階でこの遅れを矯正していくとそれだけ追いつけるので、しっかり何が弱くて何ができるのかということを把握していく必要があります。そしてできれば2歳〜3歳からは目標点を意識していく必要があります。
ことばが遅れることによる問題点
同世代とのコミュニケーションが難しくなる!
言葉は遅れても後から追いつけば大丈夫〜!といえるような単純な話ではありません。
何故かと言うと4歳頃から(一般的に年少さんになり、幼稚園に入る年齢から)はだんだんコミュニケーションから学ぶことが増え始めます。
言葉が遅れてしまうと、どうしても連続する会話についていけなかったり、予測する語彙が同世代の子より足りないために、聞き漏らしが生じるとそれだけで、文章の意味が理解できなくなってしまう、というような直接的なコミュニケーションの問題がまず最初に生じます。
次にそういったコミュニケーションが対等にできないと、相手の気持ちを推し量るという訓練(練習)ができません。例えば5才児にもなると、お互いに言葉で理由を説明したり、結論を出すことができます。
「今からはなちゃんとおままごとをするからキッチンセットを貸してほしい」
「でもぼくも今使ったばっかりでおままごとをやりたいから使いたい」
「うーん、じゃあ、一緒におままごとしようよ!」
「いいよ、じゃあぼくが洗い物をするから、はなちゃんは包丁で切ってね。わたるくんはお鍋で焼いてきてよ!」
…と会話がつながって、相手の気持も考えて、お互いの落とし所を見つけて、結論を出して、次の会話へ〜という流れを同世代の子供同士の会話で習得していったり、次、どうなるかという予測の練習や、どうしてなのかといった探求について答えを探したりと、高度なコミュニケーションの練習を少しずつし始めます。
しかし言葉の発達が1年半以上遅れてしまうと、同級生と対等に会話ができないので、同世代との関わりから学ぶべきことを学ぶことができず、就学してしまうことになります。その結果、小さいうちはまだ問題も小さいので人間関係はうまくいっても、大きくなった時に問題が表面化し始めます。
そうなってくると、大人になっても、常識がないと言われたり、言葉の裏を読むことが苦手だったり、相手が言わないことを推し量ることができなかったり、空気を読めない事になってしまうので、その前に出来る限り言葉の土台をしっかり作っていくことが何よりも大事だと感じています。
言語発達評価の種類
そして、実際に言葉の発達を正確に調べようと思うと言語発達評価や認知発達検査を受けていく必要はあるかと思います。
どんなものがあるのか…?ということで今回主要なものを軽くまとめてみました。一つしかないわけではなく本当にたくさんあり、病院や場所によって実施している検査は異なります。強いて言えばK式はどこもやっていることが多いかな〜という感じですね。
発達検査それぞれに傾向があるのですが今回はそこまでまとめきれなかったので大きく2つに分けてご紹介します!(*^^*)
■言語発達評価→言語中心の検査
・絵画語彙発達検査
・ITPA言語能力診断検査
・マッカーシー発達質問紙
・幼児読書能力検査
・ウェクスラー式知能検査言語系検査
■認知発達検査→運動面や認知、言語を総合的に見る
・津守稲毛乳幼児精神発達質問紙
・マッカーシー認知発達検査
・遠城寺指揮発達質問紙
・デンバー認知発達検査
・WISPSⅠ、WISCⅢ
・田中ビネー知能検査V
・辰巳ビネー知能検査
・新版K式発達検査
※発達検査は基本的に中身の質問内容は変わりません。なので取扱には相当注意してください。
調べるのはもちろん良いのですが例えば調べてWebに上がっている質問を見て、その質問をお子さんにその質問をやらせてみたり…ということはしないようにしましょう。一度やったことがあると答えがわかってしまうことが多く、そうなると本来の言語レベルがわからないことになってしまいます。(大体の発達検査では同一の検査をする場合は半年〜1年は空けて実施します。)
言葉はちゃんとやれば伸ばすことができる!
散々言葉の遅れを脅してきましたが、、、大丈夫ですー!!
しっかりお子さんに合わせて対応すれば、言葉の土台っていうのはちゃんと鍛えることができます。
また、言葉は入れてからすぐに出るのではなくちょっと遅れて出てきます。成果が出るまで2−4ヶ月くらいだと思ってください。
子どもたちを見ていると、大体重点的にインプットして、本人なりに解釈してそのアウトプットが出るまで、2−4ヶ月かかるな〜と思います。(本当はすぐに成果がほしいところなんですけどね〜!笑)
例えば、デフサポでは語彙検査で1年遅れなどがあっても一緒にやりはじめてから、半年程度で年齢相応やその近くまで追いついたりしている子もいますし、それ以外にもご両親の教育の賜物でしっかり言葉が年齢以上に身についている子もたーーくさんいます!!一概に難聴児だから言葉が遅れるというわけじゃないんです。
どんなことを教えていったら良いのかということもしっかり伝えていきまーす!♡(まずブログの更新率を上げれるよう頑張ります!)
というわけで!みんなで一緒に難聴児のことば育て、頑張っていきましょう!?
この記事をまとめて書くだけで4時間かかった〜!がんばったーーーー!!甘いものをたくさん食べたのは内緒。笑
誰か、褒めてください♡笑