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聴覚障害者が自立できない理由について

公開日2016/01/25最終更新日2019/10/24

■コミュニケーション

聴覚障害者が自立できない理由について

さて、今日は…

聴覚障害者が自立できないのはなぜか書いていきたいと思います。

 

私自身、採用の手伝いの際、ある学生を見たことから…(詳しくはこちら)難聴児の就職・自立に危機感を持っています。

なぜかというと…以下2点を満たす人が多すぎるから。

①本人の障害認識が正確にできていない

 ②言語能力(コミュニケーション力)が足りないことが多い

 

つまり就職・自立に必要な

「自分の障害を、的確に自分の言葉で相手に伝え、周囲の空気を読み取る力」

が圧倒的に足りていない!!!ということです。

この力は、就職活動や社会人生活のために突然勉強しても、急に身につくものではありません。

日々の生活やこれまでの人生経験をとおして初めて身につくものです。

 

では難聴児にどうしてこういった力が難聴児に圧倒的に足りていないのか。

もちろん聞こえないことが理由ですが、それをベースとして

 

親や周囲があまりにも過保護すぎるから!!!

 

だと常々感じています。聴覚障害者は、親との関係が密接な場合が多いです。もちろんそれは悪いことではありません。親との関係が希薄と言われている現在社会の中、素晴らしいことだと思います。むしろ幼児期は過保護であるべきだと思います。

ついでに言うなら。。。私自身も親は過保護な方だと思います。

しかし親がいつまでも過保護な場合、子供の成長を阻んでしまいます。

 

当人達は当然のことなので過保護とは思っていないかもしれませんが…

例えば以下のようなシーンに心当たりはないでしょうか。

(お子様が幼稚園、小学生ならまだしも、中高生になっていたらこれは過保護です。)

 

 

①子供と第三者を含めて話しているとき…

子供が分かっていないようで「ん…?」となっていたとときは「ああ~分かってないだろうな」と気が付き、自然と「毎回」通訳してしまう

これでは子供も、自分で「もう一度言って」と言わなくなり、分からないことがあったら親頼みの会話になってしまっています。

自分で聞き返したり、もう一度言ってもらう時の言い方や、分からないときの口形を学ぶ機会を逃してしまっています。

 

②お店で店員さんに話しかけられた時…

例えば、子供自身の注文を家族が代わりにオーダーしたり、何か聞かれた時は基本的に家族が答えてしまう

子供とずーーっと接している家族は、子供の発音が悪くても何を言っているかは分かります。

 

ではいざ実際お子様が話した時、その発音は、店員さんに通じるでしょうか?

そして、店員さんがなんていっているか、お子様は分かっていますか?

お子様が一人でお店に入った時…さらっと自分でなんて言っているのかを聞き取って、回答できる力はありますか?

もちろんいきなりはできません。でもサポートできる今のうちからやらせておかないと、中高生になっても親頼みということになってしまいます。

 

③第三者や初対面の人に子供の障害を説明するとき…

耳が悪いことの説明を親がしてしまう人が多々います。

「この子、耳が聞こえないからこんな風に話してあげてね~」などなど…

友人や、習い事/学校の先生など、様々な人に「耳が悪いことや、どう話してほしいかの要望」を伝えるのはお子様がすべきです。自分のことは自分が一番分かっているはずです。

何回も失敗すると思います。でも、それも糧。

自分で伝えて行くうちに「あ、ココで伝えよう!」などのタイミングがつかめてきたり、伝え方のコツが分かってきます。

 最初子供に言わせて、足りない部分は親がサポートするというくらいでいいんじゃないかと思っています。

 

通訳してあげることや、ストレスをなくすためにサポートしてあげることはもちろん大切です。

ですが、親のサポートは聴覚障害の子供にとって「かなり過ごしやすい環境」をつくりあげてしまっています。

そのことによって弊害が生まれています。

 

子供が世に出た時のことを考えると、「自力」で障害を克服するような機会を与えることが大切です。

 

特に親がサポートできる時期こそ、本人にやらせる一番のタイミングです!!

 

うん、熱く語ってしもーた。笑

 

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